生保各社の2022年度第1四半期業績が発表されました。その中での新型コロナウイルス感染症に係る支払の状況についてまとめてみます。
2022年度第1四半期報告で新型コロナウイルス関連の保険金等の支払状況を公表しているのは、私の調べた範囲では以下の会社でした:
(収支への影響額のみ開示している会社は他にもあるのですが、ここでは件数および支払金額を開示している会社を挙げています。)
これらの会社について前年・前々年同期と比べてみましょう。なお、かんぽ生命は2020年度・2021年度の第1四半期の金額を開示していないため、以下の集計ではかんぽ生命を除いています。
まずは死亡保険金額から。
第1四半期でみると、2022年度は2021年度と同程度の水準となっています。ちなみにかんぽ生命を含めた2022年度第1四半期の保険金額は174億円(3,567件)となっています。
次に入院給付金です。
…とんでもない激増ぶりです。かんぽ生命を含めると2022年度第1四半期の給付金額は883億円、件数はじつに904,643件です。
実は2021年度通年での入院給付金支払額は609億円(上記の会社のほか、住友生命グループを含む)ですので、2022年度は最初の3ヶ月だけで2021年度の総額を上回っています。オミクロン株の感染力の強さがよくわかります。
しかもこの金額は2022年6月末までの数字ですので、基本的に第6波までしか含まれていません。第6波は2021/12/15~2022/04/30としている資料がありましたのでこの定義に従うと、この間の全国の感染者数の平均は44,920人/日、最多は2月5日の104,169人です。一方、7月以降の感染者数は直近(8月13日)までの平均が140,066人。したがって第7波の入院給付金額の影響はさらに増加する可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の発症から給付金の請求・支払までは一定のタイムラグがあるため、今回の第1四半期は2月にピークを迎えた第6波の影響がほぼそのまま支払に現れたものと思われます。第7波がどこまで続くのかは現時点では不透明ですが、第2四半期だけでなく第3四半期以降も影響が続くかもしれません。
体調不良であることを自覚してから受診の前に保険加入するモラルリスクの存在も指摘されており、コロナ感染に対し給付を行う保険について各社が見直しを検討するようになってきました。2020年ごろは欧州や米国の保険会社がコロナによる混乱の極みにありましたが、日本の生保はこれから本格的な対応を迫られそうです。
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