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2011年2月27日 (日)

「物語(エピソード)で読み解くファイナンス入門」

著者の森平教授といえば、ファイナンス、特に保険とファイナンスの関係については権威である。アクチュアリーではないものの、アクチュアリー会の評議員もされていたと記憶している(いま名簿を見たら「朋友」とあった。なんだかよく分からないが)。

さてこの本はタイトルのとおり、ファイナンスの概念に関わるさまざまなエピソードが盛り込まれている。章立ては以下のとおり。

第1章 ポートフォリオ理論とは

第2章 時は金なり

第3章 リスクとリターンの話

第4章 証券化-紙切れに価値を吹きこむ

金融の中で最も基本的なのは複利の概念だ。本書の第2章では、ベンジャミン・フランクリンが遺した1000ポンドが200年後には(途中で一部引き出されて使われていたにもかかわらず)300万ドルに膨れ上がった話が載っている。ここで著者は複利の威力を述べている。

いま1万円を年8%の利子で1年間銀行預けるといくらになるでしょうか。誰でもわかるように、利子は1万円の8%分、つまり元本(1万円)と利子(800円)の合計で1万800円になって戻ってきます。

(中略)

このようにお金を預けつづけると、いくらになるでしょうか。

(中略)

フランクリンの死後200年以上が過ぎました。さて、この場合はどうなると思いますか。そのお金はいくらになったでしょうか。計算によると、実に700万倍
(正確には711万4倍)になりました。最初の1万円は、200年後に711億円にもなったのです。

計算間違いなんてとんでもありません。(1+0.08)の200乗を計算してみれば、間違いないことがわかります。

計算してみた。

(1+0.08)200=4838949.585

ちゃうやんけ!

実は著者のいう「711万4倍」」というのは200年ではなくて205年なのだが、こういう凡ミスはちょっとがっかりする。

とはいえ、中に出てくるエピソードはいろいろと興味深い。上記のベンジャミン・フランクリンの話、落語の「富久」、投資家としてのジョン・メイナード・ケインズ…さっと通読した後に再度つまみ読みをするような読み方が向いているかもしれない。

ただ、最後の証券化の章は本書267ページの中の32ページしかなく、しかも姉妹編の書である「物語(エピソード)で読み解くデリバティブ入門」を参照する内容ばかりでちょっと残念。しかも「物語(エピソード)で読み解くデリバティブ入門」の文庫版は未発売(3月2日発売予定)と来ているので、そちらが発売されてから両方一度に読む、というのもありかもしれない。

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