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2011年3月

2011年3月27日 (日)

時効に関してのあれこれ

このところ休眠口座や時効になった保険金の話がちらほら聞こえてくると思ったら、これが発端らしい。

休眠口座の活用検討=菅首相
 菅直人首相は27日午後の衆院本会議で、金融機関で預金者の死亡などで長期の利用がない「休眠口座」について「(国が)活用できる道がないか、内閣、民主党として、あるいは他党の皆さんにも検討いただきたい」と述べた。新党日本の田中康夫代表への答弁。
 田中氏は「休眠口座の預貯金を金融機関から国家へと移譲する法改正を行い、それを元手に新しい公共施策を展開する英国を見習うべきだ」と提案。これに対し、首相は「そういう活用はあってもいい」としながらも、「金融機関の財務への影響など多くの論点があり、慎重な検討が必要だ」とも述べた。(2011/01/27-18:53)

この話から、「休眠口座の金って銀行の懐に入ってんじゃねーの?」→「そういえば生保も時効になった保険金とかあるし」といった話になっているようだ。

銀行がどのように取り扱っているかは存じ上げないのでコメントできないが、生保に関してはコメントできる。

保険金支払の請求があったがまだ支払っていないものは、会計上「支払備金」として処理される。要するに未払金だ。保険金支払の時効は3年だ。

保険法第95条(消滅時効)
保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第63条又は第92条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、3年間行わないときは、時効によって消滅する。

従って原則として、3年以上経った契約の支払備金は消える(正確には訴訟係争中などで時効が停止するケースがあるため、3年を超えても支払備金として残るものはある)。このときは「支払備金」という負債勘定が減少するため、保険会社の収益となる。

ただし、これは保険会社がガメているわけではない。時効期間を過ぎても支払っているケースが大半だと思われる。従って時効を過ぎて支払った契約についての経理は、次のようになる。

保険金の請求があった年:支払備金に計上(費用)

3年後、時効完成:支払備金から取り崩し(収益)

X年後、実際に支払い:保険金支払に計上(費用)

結局通算すれば、支払った保険金と同額の費用が生じていることになる。

私もすべての生保の実務を知っているわけではないので、会社によっては時効になった保険金を支払わないケースがあるかもしれない。…と思っていたら、生命保険協会のホームページに驚くべきことが書いてあった。

保険金等の請求手続きに関するQ&A
Q.すぐに電話で問い合わせできる状況にないが、大丈夫か?
A.保険金・給付金のご請求の時効は3年となっていますが、3年経過後でもご請求いただければお支払いしますので、すぐにお問い合わせいただかなくても大丈夫です。

「請求があれば時効後でも支払う」と断言している!

生命保険協会には日本国内のすべての生保が加入しているので、ここに書かれていることはすべての生保に当てはまると考えていい。ただし、このQ&Aは東日本大震災を受けて書かれているので(Q&AのURLを見れば分かる)、すべての保険金支払に当てはまるかどうかは断言はできない。

また、以上の話は生命保険に関してのものであることに注意してほしい。損害保険については、損害保険協会のホームページに次のように書かれている。

3月25日 NHK「あさイチ」番組内での地震保険のご質問について(2011.3.25)
Q3.すぐに電話で問い合わせできる状況にないが、大丈夫か?
A3.地震の発生から3年間は保険金の請求が出来ますので、ご安心ください。ただし、なるべく早めにご連絡されることをおすすめします。

時効を過ぎても払う、とは書いていない。損保の場合は損害額の査定が必要になるので、時効を過ぎてからの請求では損害額の査定自体が難しくなるのかもしれない。
(しかし、損保の時効は保険法施行前(2010年3月31日以前)は2年間だったはず。保険法の附則では遡及適用されていないのだが、問題ないのだろうか。)

さて、そもそもの話である休眠口座については、残念ながら私にコメントするだけの知識がない。twitterでこの話をしたところ「(時効を過ぎても)払い戻しに応じている」とのご意見をいただいたことだけ申し上げることにする。

2011年3月14日 (月)

生命保険会社の災害保険金支払

(2010/3/15 12:00 全社情報をアップデート)

今回の東日本大震災で被災された方々に、心からお見舞い申し上げます。

この地震における保険金支払について、いくつかの報道が流れています。

(順不同)

整理すると、災害時に生命保険会社が行う特別取扱いは2つに分かれます。

  1. 被災者の利便を考えた特別措置
  2. 生命保険会社の支払能力確保のための契約上の措置

まず1.について。これは生命保険全社で共通に行われます。

  • 保険料の払い込み猶予:最長6ヶ月まで、保険料の払い込みなしで保険が継続されます(あらかじめ契約者からの猶予期間延長の申し出が必要な会社もあります)。
  • 保険金支払いのときの必要書類の簡素化:通常、保険金の請求には保険証券の他に住民票(または戸籍謄本)・印鑑証明書などが必要になりますが、これらの書類の一部がなくても支払いが受けられます(何が必要かは会社により異なります)。

次に2.について。これは災害時に保険金を一部削減して支払うことができる、という契約(約款)上の規定があるからですが、この規定の適用は会社ごとに判断されます。報道またはHPで私が確認した情報を集めると、以下の会社が「災害保険金等を全額支払う」と表明しています。

(2010/3/15 9:00追記)会社数が増えてきました。キリがないので以降の更新はしませんが、要は、ほぼすべての会社が災害保険金等を全額支払うと表明しています。また、削減支払いを表明した会社はありません。

(2010/3/15 12:00追記)生命保険協会より、すべての生保が災害保険金等を全額支払うとのアナウンスがなされています。

(自社HPに災害保険金に関する情報を載せている会社はリンク張ってます。それ以外は報道ベースの情報)

逆に言えば災害保険金を全額支払うかどうか表明していない会社がまだある、ということですが、私の知る限り、過去に災害で保険金を削減した会社はありません。従って、(私の推測ではありますが)他社も削減せずに支払うものと思います。

一方、損害保険ですが、地震保険に加入していない火災保険の場合、今回の地震および津波で保険金が支払われる可能性はきわめて低いです(出ても見舞金程度)。これは契約自体が地震および地震を原因とする火災・水災を補償対象外としているためです。

twitterでは生命保険会社が災害保険金の全額支払いを決定したニュースに対して「生保えらい!」的なコメントが流れていますが、生保と損保は次のような前提の違いがあります。

  • 生保は契約上、会社の判断の余地のある支払い条件に関して、なるべく支払いを行う方針を(いくつかの会社が)表明している。
  • 損保は地震保険自体が独立しているので、契約上の判断の幅がない。

つまり生保も損保も契約を超えた措置をとっているわけではありません。そもそも、保険会社の原資のほとんどが契約者からの預り金なので、契約を超えて勝手に支払いを拡大するわけにはいきません。(銀行があなたの預金の一部を勝手に寄付に回したら怒るでしょう?)

保険会社には契約の中でできる取扱いを迅速にとっていただきたいと思います。そして、保険契約でカバーする範囲を超えたところは、善意の領域です。「保険会社はもっと払ったれや」と保険会社に善意を強制するのではなく、寄付などのあなたにできる善意をやっていただければ、と思います。

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