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2011年5月

2011年5月29日 (日)

新基準ソルベンシー・マージンの報道

2011年3月期の生保決算に関しては次の二つが好エントリ。

で、この両者に揃って嘆かれているのが、朝日新聞の記事である。以下、引用する。

金融庁の規制強化で、生保各社の「体力」を示すソルベンシーマージン比率が軒並み急低下した。

環境が変わったならともかく、計算の基準を変えただけで経営体力が変わるわけがない。このぶんだと、日本で100円を1円にするデノミを行ったら「各社の収益が100分の1に大幅減益」とか平気で書きそうだ。

今回初めて公表された新基準での比率は、各社とも従来の基準より6割ほども下がった。

数字を見れば分かるが、「6割下がった」ではなくて「6割に下がった」が正しい。

そもそも金融庁は新しいソルベンシー・マージン基準の骨子を発表する際に「生保は半分程度、損保は7割程度に低下する」と言っている。したがって「半分程度」は織り込み済みのはずで、何か言うなら、低下の程度が「半分程度『より大きい』」なのか「半分程度『より小さい』」なのかが重要なはずだ。つまり、「当初半分程度に低下すると言われていたが、4割の低下にとどまったのは…」という記事を書くべきで、それを根本的に間違っているというのは、今回の改正の要旨をまったく理解していないと言ってよい。

そもそもこのソルベンシー・マージン基準改正は、非常に慎重なスケジュールで行われてきた。

  • 2006年11月~2007年3月:
    「ソルベンシー・マージン比率の算出基準等に関する検討チーム」での検討
  • 2007年4月:
    検討チーム報告書「ソルベンシー・マージン比率の算出基準等について」公表
  • 2008年2月:
    「ソルベンシー・マージン比率の見直しの骨子(案)」公表、意見募集
  • 2009年8月:
    「ソルベンシー・マージン比率の見直しの改定骨子(案)」公表、意見募集
  • 2010年4月:
    ソルベンシー・マージン新基準の法令公布
  • 2011年3月決算:
    新基準に基づくソルベンシー・マージン比率を各社が参考値として公表
  • 2012年3月決算:
    新基準に基づくソルベンシー・マージン比率を本格的に施行

途中で骨子に見直しが入っているのは、金融危機と大和生命の破綻があったためだが、その期間を除いても、法令の公布から施行まで2年の期間を置いており、なおかつその間に参考値としての公表(それが今回の決算だが)を求めている。

それもこれも、大きく変わるソルベンシー・マージン比率に関して、過剰な反応が起こらないようにするためだ。

それなのに…マスコミが過剰反応を先導してどうする。

厭債害債さんのおっしゃるような、経済価値ベースやソルベンシーIIへのつながりといったところまで記事に求めるのはさすがに高望みだとしても、もう少し真っ当なものを書こうよ。

更新:保険関係法規集

保険関係法規集<http://www.nn.em-net.ne.jp/~s-iwk/>を更新しました。

5月13日から施行された、認可特定保険業者に関する法令改正の反映

無認可共済を原則として保険会社または少額短期保険業者に移行させる「保険業法等の一部を改正する法律」(平成17年法律第38号)をさらに改正したもの。つまり、従来の無認可共済(根拠法のない共済)の一部が認可特定保険業者となり、従来の主務官庁の監督下で保険会社や少額短期保険業者と似た(あるいは、似て非なる)規制を受ける。

保険業法施行令の改正(平成23年6月1日施行)

「地方公務員等共済組合法施行令等の一部を改正する等の政令」および「展覧会における美術品損害の補償に関する法律施行令」を反映したもの。

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