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2011年11月17日 (木)

書評:この1冊ですべてわかる 会計の基本

「1冊で基本がすべてわかる」などと謳っているものは、しばしば初歩しか載っていないものだったり、基礎的なことが無味乾燥に羅列してあったりする。しかしこの本は違うのだ。


まず、初歩だけにとどまっている本ではないことは、目次で一目瞭然。

  • 第1章 会計とは
  • 第2章 財務会計
  • 第3章 連結決算
  • 第4章 税務会計
  • 第5章 内部統制
  • 第6章 IFRS(国際財務報告基準)
  • 第7章 企業価値
  • 第8章 財務分析
  • 第9章 予算管理
  • 第10章 原価計算
  • 第11章 コスト・マネジメント
  • 第12章 組織再編

ふつうは会計の入門書と位置づけられるものに財務会計や管理会計を入れたりはしない。でも、この本はそこまでカバーしている。

そして、これだけの範囲をカバーしつつ「無味乾燥なものにならない」というのは、イメージで捉えやすくしていることが大きい。

同じ著者による会計の初心者向けの本には次のようなものがある。


これらに共通して(当然本書にも)出てくるのが「会計ブロック」という考え方だ。これらの本のどれかを読んでいただくと分かるが、とっかかりの悪かった「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」といった単語が、あたかもテトリスのブロックのようにビジュアルに思い浮かんでくる。

この「会計ブロック」をはじめとして、この著者はとにかく「例え」がうまい。

本書では、内部統制が「うがい」に例えられる。「は?」と思った人は本書を見てみてほしい。そのことで、「単に押すハンコが増えるだけ」というイメージの内部統制が、具体的に捉えられるようになる。

それでいて「基本」であることを外しておらず、各章の最後には、さらに理解を深めるための推薦図書が書かれている。(当初は全部読んでみようと思ったが、合わせると50冊近くになるので私は断念したが。)

あえて難をいえば、IFRSのくだりが資産負債アプローチであるかのような書き方になっているところ(それも説明の簡明さを考えるとやむを得ないかも)と、推薦図書の難易度にバラツキが大きいところか。

しかしとにかく良書である。会計実務を行う者は具体的な会計処理が描かれた詳細な地図が必要だろうが、全体像を知りたい人向けの「会計の世界地図」としてこの本を捉えればいいのではないだろうか。

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