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2012年1月 3日 (火)

2012年の生命保険業界

みなさま今年もよろしくお願いします。

年初めなので、2012年に生命保険業界で予定されていることをつらつらと記してみます。

1月1日:ジブラルタ生命、AIGエジソン生命、AIGスター生命の3社が合併

2008年の金融危機を経てAIGグループが日本の生保3社を売却しました。売却先は、アリコジャパンがメットライフ、エジソン・スターの2社がプルデンシャルグループとなっていました。このうち、エジソン・スターの2社は、2012年1月1日をもって、プルデンシャルグループ傘下のジブラルタ生命と合併しました。

これによって社名についていた「AIG」が公式になくなることとなり、名実ともにAIG離れが完成することになります。

合併前の直近(2011年9月末)の3社の総資産は、

  • ジブラルタ生命 43,496億円
  • AIGエジソン生命 23,284億円
  • AIGスター生命 13,897億円

となっていますので、単純合算すると80,677億円。アリコ(68,538億円)、アフラック(73,323億円)を上回りますので、外資系生保としてはおそらく日本最大になります。これからどのような戦略をみせるのかが楽しみです。

4月2日:メットライフアリコの正式発足

同じくAIGグループから売却されたアリコジャパン。こちらはメットライフに買収され、現在「メットライフアリコ」として営業しています。しかし、現在も正式名称は「アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー日本支店」です。会社の通称と正式名称が違うのはいろいろと不都合でしょうし、メットライフとしてはAIG色を払拭する意味でも正式名称に「メットライフアリコ」を使いたいところだと思います。

さて、日本で保険業を行うには免許が必要ですが、実は生命保険業の免許は2種類あります。「生命保険業免許」と「外国生命保険業免許」です。両者の違いは「日本に本社があるかないか」であって、いわゆる外資系であっても、日本で法人登記をして免許を取得した場合、生命保険業免許になります。
上記のジブラルタ、エジソン、スターの3社はいずれも生命保険業免許を持っている会社なので、法的には日本法人3社の合併になります。

一方アリコジャパンが持っているのは外国生命保険業免許ですが、メットライフは、「メットライフアリコ」への統一に際し、同時に生命保険業免許会社への移行も行うことをアナウンスしています。つまり、

  • 新しい日本法人「メットライフアリコ生命保険株式会社」を設立
  • メットライフアリコ生命保険株式会社の生命保険業免許を取得
  • 現在の「アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー日本支店」の契約をメットライフアリコ生命保険株式会社に包括移転

という手順で移行すると思われます。

日付を含めて、より正確に移行内容を書くと、次のとおりです(公式アナウンスメントのほかに、多少想像が入っています)。

  • 2011年8月11日:日本法人「メットライフアリコ設立準備株式会社」を設立
  • 2012年3月:メットライフアリコ設立準備株式会社が生命保険業免許を取得
  • 2012年3月:「メットライフアリコ設立準備株式会社」から「メットライフアリコ生命保険株式会社」に社名変更
  • 2012年4月2日:メットライフアリコ生命保険株式会社 営業開始
  • 2012年5月31日:アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー日本支店の契約をメットライフアリコ生命保険株式会社に包括移転

(青字の箇所は金融庁の認可が必要な部分です)

この結果、現在のアリコの契約は、法的には別の会社に移ることになりますが、保障内容や問い合わせ窓口に変更がない旨がアナウンスされています。

上記のジブラルタとあわせて、金融危機から3年半にして、日本における旧AIGグループの生保が、ようやく法的にも形を整えることとなります。

3月31日:新ソルベンシー・マージン基準施行

2010年4月9日に公表された新しいソルベンシー・マージン基準が、2012年3月末決算から本格的に施行されます。すでに2011年3月末から現・新両基準でのソルベンシー・マージン比率が開示されているため、数字自体が驚くようなものにはならないでしょう。

会社によって状況は違いますが、現在のソルベンシー・マージン比率と比べると、生命保険会社に関してはおおむね4割程度低下します(現行基準で1000%の会社が600%程度になるということ)。

3月31日:生命保険契約者保護機構の政府補助の延長

生命保険会社が破綻すると、破綻会社の保険契約の保障のために、

  1. まず、生命保険会社各社の拠出によって事前に積み立てた資金(限度額:4,000億円)が充てられます。
  2. それで不足する場合、保護機構による政府保証付借入(限度額:4,600億円)が充てられます。
  3. それでも足りない場合、一定の要件の下で政府補助(法律で定めた時限措置)を受けることができます。

最後の3.は時限措置となっており、2012年3月31日が期限となっています。これを5年間延長する法案が、次期通常国会に提出される予定です。

生命保険会社は銀行などと異なり決済システムを構成するものではないため、破綻したときにどこまで保護するかは比較的議論になり、「政府補助は不要」という意見もみられます。

今回は、金融環境が依然として不安定であることを背景に、セーフティネットとしての保護機構の機能を万全にするため、延長となったようです。

ちなみに、これまでの生保の破綻において、この政府補助が実際に使われたことはありません。したがって「我々の税金を一部の契約者の保護のために使った」ことはないので、誤解なきよう。

4月1日:銀行窓販の弊害防止措置等の見直し

銀行窓販は徐々に販売可能な商品を拡大する形で段階的に拡大され、2007年12月移行は保険会社で販売するすべての商品を銀行等でも販売することが可能となっています(全面解禁)。

しかし、銀行が融資先に対する立場の強さを利用して圧力販売をするといったことのないように、販売する相手に関しては一定の規制が続いています。この規制が4月1日から一部緩和され、例えば一時払養老や一時払終身を融資先の中小企業に販売する、といったことが認められるようになります。

その他

上記のほか、金融審議会「保険会社のグループ経営に関する規制の在り方ワーキング・グループ」から報告書が公表されているので、これを受けた保険業法の改正が行われるものと思われます。今年かどうかは分かりませんが。

保護機構の政府補助延長の背景にもなっているように、金融環境は微妙な状況が続いていますが、日本ではようやく不払い問題も収束したことですし、明るい話題を期待したいところです。

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