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2012年1月31日 (火)

「保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」等の公表について

金融庁から、「保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」等がパブリックコメントに付されました。

主な内容は次のとおりです。

  • ソルベンシー・マージン基準のリスク相当額のうち価格変動等リスクの計算について、不動産のリスクに海外の土地も含まれるようになりました(これまでは国内土地のみ)。
  • 東日本大震災を受けた生命保険会社のIBNR備金の計算の特例が設けられました。

後者についてちょっと解説します。

IBNRはIncurred But Not Reportedの略で、日本語では「既発生未報告」と訳されます。その名の通り、3月末までに保険事故が発生しているのだろうけど保険会社に請求がまだ来ていない契約を見積り、支払う必要が生じるであろう保険金(支払備金)として計上するものです。

保険会社に請求が来ていないのですから、それがどの程度あるのかは分かりません。しかし事後的には分かります。平成10年大蔵省告示第234条第1条によって、生命保険会社の場合、この事後的に判明した額の過去3年平均とされています(実際には保険金支払の伸び率で調整します)。

東日本大震災の発生は3月11日でしたし、その後も避難生活などがあったことから、3月末までに保険会社に請求がなされた契約はほとんどありませんでした。したがって震災による支払いのほとんどが2011年3月末時点では既発生未報告でした。

この部分の金額は警察の被害発表等から推定できるため、2011年3月末(つまり去年)の決算においては、「震災分を別途推定して、3年平均で計算されるIBNR備金に上乗せ計上してよい」という告示が出されました。

今年になると、震災によって既発生未報告だった金額は「事後的に判明」しています。したがって、

  • 去年と同様に、3年平均から計算されるIBNR備金に、震災の分を上乗せ計上する

ことに加えて、

  • 昨年までの「事後的に判明した額」から、震災による影響額を除く(3年平均の計算を震災除きにする)

という調整が必要になります。

調整を行うことができるとされているIBNR備金は、

  • 2012年3月末のIBNR備金(2009年3月末・2010年3月末・2011年3月末をベースに計算)
  • 2013年3月末のIBNR備金(2010年3月末・2011年3月末2012年3月末をベースに計算)
  • 2014年3月末のIBNR備金(2011年3月末2012年3月末2013年3月末をベースに計算)
  • 2015年3月末のIBNR備金(2012年3月末2013年3月末・2014年3月末をベースに計算)
  • 2016年3月末のIBNR備金(2013年3月末・2014年3月末・2015年3月末をベースに計算)

となっています。太字が震災の影響を除く必要があると考えられる年です。保険金請求権の時効は3年ですので、3年間にわたって影響を除く必要があると考えられています。

しかしこの内閣府令等改正、施行予定日が「公布の日から」となっていますね。ソルベンシー・マージン基準もIBNR備金も3月末に施行されれば十分なのに、と少し妙な感じがしましたが、振り返ってみると昨年のIBNR特例告示も「公布の日から適用する」となってました。まあそういうものなのでしょうか。

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