受ける、とる、なる
アクチュアリーが「儲かる資格」として注目されているようです。
第1位だそうで。名誉なことです(皮肉)。
さて、ネットを見てみると、「アクチュアリー」という単語はいくつかの使われ方をしています。
- アクチュアリーを「うける」
- アクチュアリーを「とる」
- アクチュアリーに「なる」
最初の「うける」は、アクチュアリーの資格試験を受験する、ということですね。なんとなくですが、アクチュアリー試験を受けない人間に限って「アクチュアリー受ける」という表現を使っているような印象があります。「アクチュアリー受ける」という表現は、司法試験を受けることを「弁護士受ける」と言っているみたいで(それは弁護士事務所の就職面接を受けるということかな?)、個人的にはどうにも落ち着かない響きがあります。
アクチュアリーを「とる」は、当然ながら資格としてのアクチュアリーを取るということで、日本においては日本アクチュアリー会の正会員となることを一般的に指すように思われます。この表現は聞いても「うける」のような違和感は覚えませんが、学生の方々がよく使うような印象があります。
アクチュアリーに「なる」というのは、資格を取得することに加えて、アクチュアリーとして保険会社や信託銀行で勤務することも指す印象があります。まあ、どちらかというと順番は逆で、保険会社や信託銀行にアクチュアリー採用として入社・入行する(あるいはその方向で就職活動している)というのが先にあって、その上で資格取得のための勉強をするということでしょうが。
こう考えてみると、個人的には「とる」と「なる」の認識が比較的近く、「なる」が一番違和感がないのですが、それはよくないことなのかもしれません。「アクチュアリーになる」が一番違和感がないということは、アクチュアリーという資格と職業が密接に結びついているということで、職種を超えた広がりをもっていないことになるからです。
例えば証券アナリストという資格は、さまざまな金融機関の人が持っている資格です。当然、その中にはアナリストでない人も山ほどいて、アナリストを「とる」とアナリストに「なる」の間には明確な違いが存在します。
「儲かる資格」という認識のされ方は、私自身はあまり好きではないのですが、アクチュアリーに対する認識が広がって、「とる」の裾野が拡大すると思えば、あながち否定すべきものではないのかもしれません。
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アクチュアリー受けるという表現は、日本語における省略の多用という特徴を示しているだけではないでしょうか。
なお、アクチュアリーが儲かる資格というのは、時事認識として正しいといえません。しかし、このような形でいわれることがあるのは、アクチュアリーに限らず、社会現象として極めて一般的なことです。知識人ぶった人が、このようなことに対して、嫌だなんだと過剰反応したくなるのもごく一般的なことではあります。悠然と構える余裕をお持ちください。
投稿: mushiman2 | 2012年3月 5日 (月) 19時29分