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2012年7月 7日 (土)

社員総代会と基金

7月3日、相互会社形態の保険会社で社員総代会が開催されました。

その中で、日本生命、明治安田生命、住友生命の3社が基金の増額を決議しました。

生保3社が基金積み増し 総代会で決議

基金というのは株式会社の資本金に相当しますが、最近は、基金は証券化されて発行されることが多くなっています。例えば日本生命のアニュアルレポート(去年のものですが)の「基金拠出者の状況」を見ると、拠出者は

  • 日本生命2009基金特定目的会社
  • 日本生命2005基金特定目的会社
  • 日本生命2008基金特定目的会社
  • 日本生命2010基金特定目的会社

と、すべて特定目的会社になっています。

ここまで読んで「?」と思われた方もいるかもしれません。

「相互会社の基金は株式会社の資本金に相当する」と書きましたが、株式会社において株式を証券化するという話を聞いたことはありません。

そう、基金は有価証券ではないので、わざわざ証券化する必要があるのです。

基金は拠出を受けてから一定期間後に返済(保険業法上の用語では「償却」)されます。その意味では劣後債務です。有価証券でないことから、むしろ劣後ローンに近いものといえます。B/Sの純資産の部に計上されるので、劣後性は最も高いことになります。

さらに保険業法上、次のような制約があります。

第56条(基金償却積立金の積立て)
基金を償却するときは、その償却する金額に相当する金額を、基金償却積立金として積み立てなければならない。(以下略)

つまり100億の基金を取り入れたら、返済するときには100億の内部留保をしなければならないということです(したがって返済直前には200億が必要になります)。

したがって基金の内容を表すように表現すると「内部留保特約付き最劣後金銭消費貸借契約」ということになります。

相互会社にとって債務ということは拠出者にとって資産ですから、証券化に際しては、この基金を裏付資産として証券を発行します。一般の証券化は資産保有者の信用力から資産を切り離すのが目的であることが多いので、そもそもの目的が異なっているところに違和感をおぼえる人がいるかもしれません。

最後に参考として証券化した基金の目論見書のリンクを張っておきます(販売は終了しています)。日本生命の例ですが、他の基金証券化もスキーム等はほぼ同様だと思います。

日本生命2011基金特定目的会社

EDINETの有価証券届出書なども参照ください。

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