« 更新:保険関係法規集 | トップページ | 「災害」扱いの病気 »

2013年4月17日 (水)

物スラおぼえていますか

こんなニュースを目にしました。

財務省が物価連動債発行へ ワーキンググループ開催(MSN産経ニュース)

財務省は、物価に連動して元本が増減する物価連動国債の発行に向け、証券会社や機関投資家などで構成するワーキンググループを22日に開催すると発表した。長引くデフレで発行を停止していたが、海外投資家の需要があるとみて、財務省は今年度、5年ぶりに発行を再開する方針。

このニュースに対して、twitterでこんな反応が。

物価スライド保険(略して「物スラ」、会社によって多少名称は異なります)、ご存じの方も少ないと思いますので、歴史をひもといてみましょう。

物価スライド保険が発売されたのは1975年7月。1973年から開かれた保険審議会の答申を受け、業界共通商品として開発されました。(「業界共通商品」というものが存在したこと自体に時代を感じます)

保険審議会が開かれていた1973年はちょうどオイルショックにあたっており、異常なインフレが発生していた時期です。翌1974年の消費者物価指数の上昇率は23%に達しました。

このような中、保険審議会の中の消費者代表委員からの要望により、物価スライド保険は開発されました。その仕組みは5年定期保険であり、消費者物価指数に連動して保険料と保険金の両方が変動するというものでした。

しかし業界の想定どおり、さっぱり売れない商品でした。そのあたりの描写が「生保商品の変遷~アクチュアリーの果たした役割~」という本にあります(p41)。

しかし業界は、過去の長い歴史と経験から、この類の商品開発がわが国の生きた市場ではいかに実効がないかを承知していた。一般のインフレ保障に対する期待は、自らが危険を負担するのではなく企業が負担してくれることにある。このよな点からみれば、この仕組―保険料も物価指数に応じて増大する―については大いに疑問があった。

(中略)

その判定は、その後の販売実績に委ねられた訳であるが、現在までのところの実績でみるかぎりこの懸念が正しかったと判断せざるを得ないであろう。63年度末保有件数は全社で100件以下である。

平成に入ってからいくつかの会社が販売停止にし、今では販売している会社はありません(すべての会社が販売を停止した時期ははっきりしませんが、1996~1997年ごろと思われます)。5年満期なので、保有そのものもゼロになっているはずですね。

日銀の異次元緩和によって何かとインフレ率が注目を浴びる可能性が高まっていますが、さて、物価スライド保険の再来はあるのでしょうか。

…ないだろうなあ。

1996年の保険業法改正前の保険の歴史を知るにはいい本です。この本にしか書いてないネタもたくさんあります。ただ、もう絶版じゃないのかな。

« 更新:保険関係法規集 | トップページ | 「災害」扱いの病気 »

保険」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/554939/57185956

この記事へのトラックバック一覧です: 物スラおぼえていますか:

« 更新:保険関係法規集 | トップページ | 「災害」扱いの病気 »

フォト
無料ブログはココログ
2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

最近のトラックバック