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2013年12月

2013年12月21日 (土)

保険会社向けの総合的な監督指針の改正

12月10日付で、「保険会社向けの総合的な監督指針」その他の指針等の改正案が公表されています。

改正の対象となっている指針等はいろいろとあるのですが、中でも監督指針の改正がいちばん大きいですね。IAIS(保険監督者国際機構)の採択した「保険コアプリンシプル(ICP)」への対応ということで、リスク管理に関する記述が全面的に改められています。

日経にも「保険会社にリスク管理強化を要請 金融庁が監督指針改正案」という見出しで記事が出ています。

金融庁は10日、保険会社向け監督指針の改正案を公表した。重大な経営危機に備える新たな健全性に関する審査を定期的に実施するよう求める。新指針は2014年1月にも適用する方針だ。

新たな審査は「リバース・ストレステスト」と呼ばれる。保険会社の自己資本がすべて失われるような事態を想定して準備しておくことで、危機が管理できなくなるのを防ぐ狙いがある。信用リスクや流動性リスクなどを統合し、取締役会に報告することも明示した。規模が大きく複雑な取引を抱える保険会社に重点的に体制整備を求める。

うーん、今回の改正案の目玉が「リバース・ストレステスト」であるかのような書き方に引っかかりを感じました。ストレステストのところにちょっと書いてあるだけなんですけどねえ。内容的にはむしろORSA(リスクとソルベンシーの自己評価)のほうが目玉だと思うのですが。

しかしそれより驚いたのはその前の部分です。

新指針は2014年1月にも適用する方針だ。

いや、これはずいぶん早いなと。だって、金融庁の発表にはこう書いてあるんですよ。

この案について御意見がありましたら、平成26年1月14日(火)12時00分(必着)までに、氏名(法人その他の団体にあっては名称)、職業(法人その他の団体にあっては業種)、連絡先(住所、電話番号又は電子メールアドレス)及び理由を付記の上、郵便、ファックスにより下記送付先に、お寄せください。

パブリックコメントの提出締切から実際の改正までにかかる期間はまちまちですが、1月14日締切で1月中に適用しようと思ったら2週間ぐらいしかありません。比較的大きい改正の場合は1ヶ月程度かかるものと勝手に思っていたので、この2週間というスピードは結構びっくりしました。急ぐ事情があるのか、はたまたあまり意見が来ないものと踏んでいるのか…

あとは、この監督指針の改正に比べて、検査マニュアルの改正内容が非常に少ないのが目につきます。今事務年度から「検査基本計画」ではなく、「金融モニタリング基本方針」が公表されるようになったことに代表されるとおり、監督局と検査局の協働・連携はこれまでになく重視されています。したがって、監督指針だけが改正されれば、それと同程度の改正が検査マニュアルにもあると考えるのが自然ですが…今後、検査マニュアルは何か大きな改正があるのかもしれません。

(念のため申し上げますが、上記は私の個人的な想像の産物です。なにか裏事情を知っているとかいうわけではありませんので。)

2013年12月 1日 (日)

2025年?

半藤一利さんの「昭和史 1926-1945」という本を読みました。

太平洋戦争終了までの昭和史を概観しています。講演を元にした本のようなので読みやすくはありますが、史料の取り扱いが精緻とはいえず、また独特の史観が入っているため好みは別れるかもしれません。私は楽しんで読みましたが全部の内容を鵜呑みにはできないでしょう。

さて、この本の最初に、次のようなことが書かれています。

一八六五年から国づくりをはじめて一九〇五年に完成した、その国を四十年後の一九四五年にまた滅ぼしてしまう。国をつくるのに四十年、国を滅ぼすのに四十年、語呂合わせのようですが、そういう結果をうんだのです。

こうやって国づくりを見てくると、つくったのも四十年、滅ぼしたのも四十年、再び一所懸命つくりなおして四十年、そしてまたそれを滅ぼす方へ向かってすでに十何年過ぎたのかな、という感じがしないわけではありません。いずれにしろ、私がこれから話そうという昭和前半の時代は、その滅びの四十年の真っただなかに入るわけです。

ここで近代日本の起点とされている1865年は、「京都の朝廷までが日本を「開国する」と国策を変更した」時、とされています。この本には具体的には書いていませんが、孝明天皇がイギリス・フランス・オランダ・アメリカの4ヶ国に対する通商条約の勅許を与えたこと(慶応元年10月5日)のことを指すのでしょう。

個人的にはこの1865年はややこじつけの感があるように思うのですが、たしかに1865年を起点として40年を一区切りと見ると、1905年、1945年と来て、次は1985年ということで、ちょうどバブル前夜にあたります。つまり、1865年から始めた国づくりが1905年をもって一度完成し、そこからの凋落が40年で、1945年を起点に国の再生を始め、1985年にはまた頂点を迎えた、と考えてもいいでしょう。

さてそうなると現在は再度の凋落の只中にあり、次の底は2025年ということになるのですが、その時に起こることはこの本に書かれているかもしれません。

そうです。「日本国債のデフォルト」です。

原発問題を一時的な要因と考え、東日本大震災以降の期間を除外した経常収支のトレンド・ラインは、経常収支の黒字が減少傾向にあることを示す。狩りに、トレンド・ラインが継続すると仮定すれば、2020年頃に経常収支は赤字化する。(P254)

このように財政赤字のファイナンスをフローの面からみると、先行き、2020年頃から、外国投資家に資金調達を頼らなければならなくなると考えられる。(P254)

いずれ、政府債務残高は家計と企業の金融資産残高を上回ると考えられる。仮に、①政府債務残高の予測は、内閣府の「経済財政の中長期試算」に基づき、②企業の金融資産残高は横ばい、③家計の金融資産残高は、増減が高齢化率に逆相関すると仮定した場合、政府債務残高が家計と企業の金融資産残高を上回るタイミングは2025年頃になる見通しである(図表8-2)。
ただし、家計と企業の金融資産が全て国債等の政府債務に向かうという強い仮定を置いた数値である。そのため、現実には、2025年よりも早いタイミングで、財政赤字のファイナンスを外国投資家に頼ることになる。 (P255)

外国投資家に財政赤字のファイナンスを頼る時、日本国債利回りは財政リスクプレミアムが課されることになる。その時期は2020~2025年頃になり、財政破綻に至る(P263)

念のため言っておくと、本書自体では日本国債のデフォルトが2020~2025年頃と明言されているわけではありません。2020~2025年頃には財政赤字のファイナンス(つまり日本国債の引き受け手)を外国投資家に頼らざるを得なくなり、それが将来的な財政破綻に至る、と書かれています。したがってデフォルトはもっと先かもしれません。

しかし、消費税増税の議論を見ても、歳入の強化が容易にはいかない(あるいは増税を緩和するための支出増が発生してしまう)ことを考えると、2025年から大きくずれることもないようには思われます。

さらに、本書の出版は2013年6月ですので、それ以降に支出が膨らむイベントが発生しています。そうです、2020年の東京オリンピックです。そのように考えると、2025年の日本国債デフォルトというのもあながち空想の産物とは言えないかもしれません…

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