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2014年6月 3日 (火)

生保再編

今日(2014年6月2日)の日経朝刊3面の「きょうのことば」は「生保再編」でした。

生保再編 リーマン危機で活発に(日本経済新聞)

内容は、

  • 金融危機以降、欧米大手の事業売却が増えている
  • 一方、日本国内の生保は再編が進んでいない

というものですが、記述が不正確でどうにも違和感をおぼえます。

例えば、記事中に次のようなことが書かれています。

損害保険会社が大手3グループに集約されたのに対し、国内の生保会社はまだ43社ある。

英語で"apple to orange"という表現があります。「うまく対応づいていないものを比較する」という程度の意味ですが、上の文はapple to orangeの典型例ですね(ちなみに、きちんと対応するものを対応づけて比較することを"apple to apple"といいます)。

「損害保険会社が大手3グループに集約された」といっても、すべての損害保険会社が3グループのいずれかに属しているというわけではありません。2014年4月1日現在で損害保険会社(外国損害保険会社等および免許特定法人を含む)は53社ありますが、そのうち大手3グループに属しているのは11社しかありません。そもそも「国内の生保会社はまだ43社ある」という表現に対応させるなら「国内の損保会社はまだ53社ある」であるべきでしょう。

それに続く次の表現も使い古されたものですね。

生保は合併や買収が難しい非上場の相互会社形式が多いことが再編の障害だとの指摘もある。

これを見て、生保会社に相互会社が何社あると思いますか。実は、以下の5社しかありません。

  • 日本生命保険相互会社
  • 住友生命保険相互会社
  • 明治安田生命保険相互会社
  • 朝日生命保険相互会社
  • 富国生命保険相互会社

大手に相互会社が多いことは事実ですが、43社という会社数をベースに語っていながら、数的にはマイノリティの相互会社を捉えて「相互会社だから再編が進んでいない」と言うのも今さらどうなの、という感がぬぐえません。相互会社が株式会社を子会社として持つことは可能ですし(実際持っている会社もありますし)、相互会社同士の合併は明治安田生命という事例があります。「…との指摘もある」というのは誰がいつ指摘したんだか、という話しもありますが、「相互会社だから再編が進まない」というのは、15年か20年ぐらい前の議論の感覚です。

これ以外にも生保と損保のビジネスの時間軸とか保有契約の違いとかいろいろ言いたいことはありますが、ともかく時事用語の解説コラムとしては、なんかもうちょっとアップデートしてもらえんかな、と思う記事でした。

生損保の業界地図も載ってます。

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コメント

批判的に捉えればいくらでも批判できますが、あえて業界の脊髄反射を廃し、擁護の立場をとるとすればこんな感じでしょうか。

業界再編は大手が中心になることが多い(と思われる)が、生保業界は、(国内)大手の中心は相互会社が大半であり、まだ再編対象となりうる比較的大規模な会社が残ってる(損保は準大手と呼べる会社が比較的少ない)、ということですかね。

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