相互会社と株式会社の合併
こんな記事がありました。
最近M&Aが相次ぐ大手生保に関する記事ですが、中にこんな記述が。
そもそも相互会社の住友生命が、株式会社の三井生命を合併すること自体、法律で認められていない。合併するのであれば、株式会社への転換という構造的な問題がある。
これが正しいかどうかは、保険業法の該当する条文を実際に見てみればわかりますね。見出しだけで十分でしょう。
- 第160条(相互会社と相互会社との吸収合併契約)
- 第161条(相互会社と相互会社との新設合併契約)
- 第162条(相互会社が存続するときの株式会社と相互会社との吸収合併契約)
- 第163条(相互会社を設立するときの株式会社と相互会社との新設合併契約)
- 第164条(株式会社が存続するときの株式会社と相互会社との吸収合併契約)
- 第165条(株式会社を設立するときの株式会社と相互会社との新設合併契約)
上記には株式会社と株式会社の吸収合併や新設合併の規定はありませんが、これは当然ながら会社法でカバーされています。つまり
- 株式会社と株式会社が合併する
- 相互会社と相互会社が合併する
- 株式会社と相互会社が合併して株式会社になる
- 株式会社と相互会社が合併して相互会社になる
のいずれも保険業法上は可能である、ということになります。
保険会社の事例では、最後の「株式会社と相互会社が合併して相互会社になる」こそありませんが、それ以外はすべて実例が存在しますね。相互会社と相互会社の合併は明治安田生命がそうですし、相互会社と株式会社が合併した事例としては大和生命があります。
経営破綻した大正生命保険株式会社の契約管理会社として発足したあざみ生命株式会社と、大和生命保険相互会社が、2002年に合併しました。このときは、大和生命は大正生命のスポンサーとして名乗り出たのですが、法的な後継会社はあざみ生命とし、「大和生命保険株式会社」となりました。
ともかく、こういった「ちょっと調べればわかること」を見落とさないように気をつけたいものです。自戒を込めて。
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