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2016年4月

2016年4月28日 (木)

標準利率設定ルールの改正

先日のエントリで「現行法令上は」と断り書きを入れておいてよかったな、という感じで、標準利率の設定ルールの改正案がパブリックコメントに付されています。

それにしても表題が長い。

今回の改正はまさにマイナス金利に対応したもので、「標準責任準備金計算の基礎となる予定利率の算出に当たって、0%以下の国債利回りの平均値(指標金利)に対応する安全率係数を設定する」とうたわれています。

具体的には、現在以下のようになっている安全率係数の表を、

対象利率 安全率係数
0%を超え、1.0%以下の部分 0.9
1.0%を超え、2.0%以下の部分 0.75
2.0%を超え、4.0%以下の部分 0.5
4.0%を超える部分 0.25

次のように改めるというもの。

対象利率 安全率係数
0%以下の部分 1.0
0%を超え、1.0%以下の部分 0.9
1.0%を超え、2.0%以下の部分 0.75
2.0%を超え、4.0%以下の部分 0.5
4.0%を超える部分 0.25

意図はもちろん分かるんですが、この表を当てはめた結果としてどのような標準利率になるかは、実は自明ではないように思われます。つまり、

  • 基準利率の「区分」とは?
  • 対象利率の「部分」とは?

というところが、今回の改正案でははっきりしません。

具体的に考えてみましょう。

現在の安全率係数をグラフにすると、次のようになります。

Illustration_1

0%以下を含めると、こう。

Illustration_2

例えば基準利率が2.6%のときは、下のグレー部分の面積ということになります。

Illustration_3

基準利率がマイナスとなった場合、例えば-0.3%では以下のとおり。グレー部分の面積がないので、ゼロであることが分かります。

Illustration_4

さて、では改正後はどのようになるでしょう。明らかに次のようになりますね。

Illustration_5

改正案で、基準利率が2.6%の場合を見てみます。

Illustration_6_2

あれ…?

そうです、改正案の場合、基準利率がプラスのときに「0%以下の部分」をどのように解釈すればよいかが明示的ではないのです。

では基準利率がマイナスの場合はどうでしょう。

Illustration_7

当然、こうだと思いますよね。しかし、こう考えることもできます。

Illustration_8

基準利率がプラスのときに「0%以下の部分」が明確でないのと同じように、基準利率がマイナスのときに「0%を超える部分」をどう解釈するかという問題も考えられます。(とはいえ、さすがにこれは牽強付会だと自分でも思いますが。)

「0%以下の部分」について下のような解釈をするとしても、まだ問題は残ります。

Illustration_7

この「0%以下の部分に安全率係数をかけたもの」はプラスでしょうか、マイナスでしょうか。

基準利率が2.6%のときの「2.0%を超え、4.0%以下の部分」について2.6%-2.0%=0.6%、と計算しますよね。同じように当てはめると、基準利率が-0.3%のときの「0%以下の部分」については、0%-(-0.3%)=0.3%、とプラスになるとも考えられます。これが「-0.3%に決まってんだろ!」というのなら、先ほどの「基準利率が2.6%のときの『2.0%を超え、4.0%以下の部分』」についても-1.4%(=2.6%-4.0%)ということになっちゃいません?

と、うだうだと述べてきたのが屁理屈に過ぎないことは重々承知しているのですが、構成として一貫性を欠いているというのはあると思うんですよねえ。

それにしても、マイナスの標準利率が発生した場合、実務上は相当に混乱が予想されます。システム上、予定利率に符号エリアを用意している会社なんてないでしょうし…

今回のパブリックコメントでは施行時期について明示していませんが、意見の中には「システム対応が膨大」みたいな意見も来るのではないでしょうか。

2016年4月17日 (日)

熊本地震での茨城県境町の取り組み

熊本と大分の地震では、今も比較的大きな余震が続いています。被災地のみなさまにはお見舞い申し上げます。

被災地支援にはいろいろな方法がありますが、個人で物品の寄付は少量にとどまる上に寄付先に仕分けなどの余計な手間を強いるため、やはり金銭による支援が一番確実ではないでしょうか。つまり、募金や寄付です。

その中に、ご存知「ふるさと納税」という制度があります。今はやや趣旨がヘンになっているところもありますが、ふるさと納税はそもそも寄付金控除を拡張したものとして制度が構築されていますので、こういった被災地への寄付として行うのが本来求められていた姿であるとも言えるかもしれません。その意味では、熊本県、大分県または被災市町村にふるさと納税をするのは金銭的支援として大いに意味があることです。

しかし、ふるさと納税では、寄付を行った先から寄付金の受領証が送られてきます。これはふるさと納税をされた自治体側にとっては、受領証を送付する事務が発生するということです。(寄付金控除を年末調整で行おうとする場合は少し話が違いますが、自治体側に事務負担が発生する点は同じです。)

被災によっててんやわんやの自治体にとって追加での事務負担が発生するのは、特に小さな市町村にとっては大きな負荷になる可能性があり、私もふるさと納税をためらっていました。

しかし、茨城県境町がすばらしい取り組みをやってくれています。

境町が熊本県の代わりにふるさと納税の事務を引き受けてくれる、というものです。

ふるさと納税制度では、納税証明書の発行業務が必要なため、自治体が発行業務をしなくてはなりません。このたび、手数料はトラストバンクが無償で、納税証明書の発行は、熊本県へ引き継ぎまでの間は、発送手数料など事務費等は茨城県境町が自費で提供いたします。

境町は昨年9月の豪雨によって常総市とともに大きな被害を受けた地域ですので、そのときの経験から出たものかもしれません。茨城県境町のすばらしいアイデアに拍手を送るとともに、私もさっそく寄付します。

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