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2016年10月15日 (土)

生保の資本調達

日銀が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という複雑骨折感ありありの政策を導入してから1ヶ月近くたちますが、長期金利は0%近辺どころか▲10bps近くですっかり落ち着きつつあります。来年4月からの標準利率も0.25%に下がってしまいます。ほんとうに、生保関係者にとってはマイナス金利政策については恨み言しか出てきません。

(やってみたかっただけですすみません)

そんな中でかろうじてメリットを挙げるならば「調達がしやすい」ということでしょうか。実際、生保各社の資本調達の動きが活発です。今年度に入ってからの調達動向をちょっとまとめておこうと思います。

以下、順番にコメント。

なお、劣後債については利率のステップアップ条項があり、かつステップアップ時に繰上償還(コール)が可能となっているものが一般的です。例えば30年の劣後債で、当初10年間は固定金利、10年経過時にステップアップ(かつ繰上償還可能)といった感じです。こういうのを「30NC10」と書いたりしますので、以下この書き方をします。

日本生命

30NC10の劣後債700億円と、35NC15の劣後債300億円、あわせて1,000億円の調達。いずれも私募です。

利率については、30NC10のほうは当初10年間の利率が0.94%、35NC15のほうは当初15年間の利率は1.12%。

ステップアップ後は変動金利になるのが一般的ですが、ステップアップ後も固定金利になっているのが珍しいですね。何でそうしたのかは分かりませんが。

朝日生命

ニュースリリースだと基金を110億円、劣後ローンを20億円調達する予定となっています。

社員総代会の議案を見ると、基金は8月末までに調達となっていますね。

期間・利率などは不明。

住友生命

60NC5を700億円、60NC10を300億円の、あわせて1,000億円の調達。いずれも私募です。

利率については、60NC5のほうは当初利率が0.84%、60NC10のほうは当初15年間の利率は1.04%。

第一生命

ドル建ての永久劣後債を25億ドル。10年ステップアップです(「PerpNC10」と書きます)。シンガポール取引所上場。利率は当初10年間が4.00%。

三井生命

PerpNC5を300億円、30NC10を500億円。あわせて800億円の調達です。私募。

利率については、PerpNC5のほうは当初利率が0.74%、30NC10のほうは当初利率が0.86%。

明治安田生命

劣後ではないです。基金募集です。証券化した国内公募。期間5年のものを1,000億円調達。利率は0.28%。

ちなみに基金については、償却(債券の償還と同じ意味です)時に「基金償却積立金」を積み立てる必要があるため、劣後と違って期間は一般にそれほど長くありません。

富国生命

PerpNC10を500億円。当初利率は1.02%。

それぞれの格付けを記載しようかと思ったのですが面倒(だしあまり利率に効いてなさそう)なので調べていません。一般論としては、劣後債は保険金支払能力格付けに対して1ノッチ下、基金は1~2ノッチ下に設定されます。最近の格付変更に関しては、上の会社の中では三井生命が日本生命傘下となったことによる格上げがあったぐらいなので、今の保険金支払能力格付けを見れば発行当時の格付けは大体わかると思います。

この金利環境は経済価値ベースで見るとかなりのものですし、各社とももう少し調達額を増やしたりするんでしょうか。

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