« 2016年10月 | トップページ | 2017年1月 »

2016年12月

2016年12月31日 (土)

「長時間労働」批判について

年の最後にこんなエントリというのもどうかと感じてはいるのですが、やはりある意味で今年最大の話題だったとも言えますので、ぜひ触れておきたいと思います。

電通社員の過労自殺事件以降、違法な長時間労働に対する批判が止まりません。その意見のそれぞれがもっともではあるのですが、その解決策となるとどうにも釈然としないものを覚える、というのが私の今の感覚です。

そこで参考として、保険や銀行のような規制業種においてこのようなことが起こった場合(しかもその領域が当該監督当局の管轄下であった場合)にはどうなるかを考えてみます。

何らかの不祥事に対して監督当局が下す命令のうち主なものは「業務停止命令」と「業務改善命令」です。業務停止命令は業務の全面停止だけでなく、たとえば新契約に関する業務といったように、一部停止を命じることもあります。業務改善命令は、問題となった事象についうてどのように対応し、改善策をどのように施すかを改善計画として提出するものです(当然ながらその計画の履行状況も報告する必要があります)。

さて、今般話題になっている違法な長時間労働についてこのような対応を当てはめると、

  • 業務改善命令:違法な長時間労働をなくすための改善計画を提出させ、その計画の履行状況をモニタリングする。
  • 業務停止命令:違法な長時間労働がなくなるまで、一部または全部の業務を停止する。

といった対応になると思われます。

しかしこの場合において業務改善命令という方法は取り得ません。業務改善命令を下すのは、改善するまでは違法な長時間労働の状態を容認するということになるからです。

となると業務停止命令ということになるのですが、ではどの程度の期間、業務停止をすればいいのでしょうか。

長時間労働というのは、相当程度会社に根ざしたものです。電通の社長も、長時間労働について「風土」という表現を使っています。

長時間労働「『是』とする風土あった」…石井直社長が弁明 - 産経ニュース

このような「風土」を是正するのはちょっとやそっとの期間ではできません。本件と同列に論じてよいかは異論があるかもしれませんが、保険業界のいわゆる保険金不払いについても、業務改善命令が出されてから解除されるまでに3年かかっています。

業務改善命令を発出した生命保険会社10社の改善状況について

しかもこれは「業務改善命令」についてです。3年以上の業務停止というのは、行政措置としてちょっと想定できません。(3年間業務停止するのは企業の息の根を止めかねないため、破綻処理というより厄介な問題を背負い込むことになるという事情もあるのでしょうが)

となると、規制業種に対するような行政措置の枠組みを「違法な長時間労働」の問題に当てはめるならば、ある程度違法状態を容認しつつ是正状況をモニタリングする、という方法が思い当たります。

そこで「違法な長時間労働」の問題を考え直してみると、そこは「長時間労働である」ということに加えて、「労働時間に対する残業代が適切に支払われていない」ということがあることに気付きます。違法に労働している部分について残業代を支払っていれば会社が違法状態を認識していることになるため、会社がとる行動としてはある意味当然なのですが、これが問題を増幅(無理に合法状態にするか違法状態で残業代を払わずに開き直るかの二択しかない)にしているように思えるのです。

残業が風土だとすると、その是正には時間がかかることから、

  • 業務改善命令で長時間労働是正の計画を提出させ、
  • 計画達成までは長時間残業に対し残業代を適切に支払わせ、
  • 計画未達であれば業務停止を命じる

といった対応が現実的な気がするのです。業務改善計画とその達成状況を公表させるというのもありかもしれません。

12月24日にはNHKスペシャルで長時間労働について取り上げられていました。

NHKスペシャル | 私たちのこれから #長時間労働

これを見ていても思ったのですが、単に長時間労働をなくすための規制強化では、違法状態で開き直る企業や潜脱行為に走る企業を減らすことは困難に思われますし、何よりも多様な働き方という考えに逆行していることに「スジの悪さ」を感じます。副業も含めて働き方の自由度を高めるためには、労働時間規制自体よりも労働に対する対価の支払いの適正化のほうが良策に思えます。

2016年12月30日 (金)

今年観た映画(私的)ランキング

ここ数年、わりとこまめに映画を観るようにしています。今年は48本の作品を劇場で観ました。(複数回観ているものがあるので、劇場に足を運んだ回数はそれより多いですが)

で、年末でもあり、備忘を込めて、個人的な年間ランキングです。ランキングといっても、作品の良し悪しについて云々できるほどの映画眼もありませんので、多分に個人の感覚によるものです。そもそも今もこのランキングを眺めながら「こっちのほうが上位じゃないか…」みたいなことを悩み出していたりもするのですが、きりがなさそうなので暫定版ということで。

  1. シン・ゴジラ
  2. 映画 聲の形
  3. 海よりもまだ深く
  4. この世界の片隅に
  5. ちはやふる 下の句
  6. オデッセイ
  7. 永い言い訳
  8. ガールズ&パンツァー 劇場版
  9. ヒトラーの忘れもの
  10. 君の名は。
  11. ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
  12. ハドソン川の奇跡
  13. マネー・ショート 華麗なる大逆転
  14. 64 ロクヨン 前編
  15. ブリッジ・オブ・スパイ
  16. スポットライト 世紀のスクープ
  17. ヤクザと憲法
  18. 湯を沸かすほどの熱い愛
  19. ちはやふる 上の句
  20. 機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起
  21. アイアムアヒーロー
  22. 何者
  23. 奇蹟がくれた数式
  24. 劇場版 響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ
  25. ズートピア
  26. 怒り
  27. 葛城事件
  28. 高慢と偏見とゾンビ
  29. 機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜
  30. ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
  31. 完全なるチェックメイト
  32. 帰ってきたヒトラー
  33. クリーピー 偽りの隣人
  34. マネーモンスター
  35. 二重生活
  36. 聖の青春
  37. ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
  38. インデペンデンス・デイ:リサージェンス
  39. エクス・マキナ
  40. X-MEN:アポカリプス
  41. さらば あぶない刑事
  42. ピンクとグレー
  43. 四月は君の嘘
  44. アズミ・ハルコは行方不明
  45. バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生
  46. 蜜のあわれ
  47. 64 ロクヨン 後編
  48. 超高速!参勤交代 リターンズ

今年は、原作を知っている/知らない で、映画を観た時の感想が大きく違いそうな作品がいくつかみられました。例えば「聲の形」、「この世界の片隅に」、「何者」などはそんな印象を持っています。先入観が入ると楽しめないだろうと考え、私はなるべく原作を知らない状態で観るようにしていたのですが、原作を知った上で観ることによってまた異なった楽しみ方ができる、というのは新たな発見でした。

来年も素晴らしい作品に数多く出逢えますように。

« 2016年10月 | トップページ | 2017年1月 »

フォト
無料ブログはココログ
2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック