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2017年3月

2017年3月 6日 (月)

書評『「原因と結果」の経済学』

この本のおもしろさは、目次を見ていただければ一目瞭然でしょう。

  • 第1章 根拠のない通説にだまされないために
  • 第2章 メタボ健診を受けていれば長生きできるのか
  • 第3章 男性医師は女性医師より優れているのか
  • 第4章 認可保育所を増やせば母親は就業するのか
  • 第5章 テレビを見せると子どもの学力は下がるのか
  • 第6章 勉強ができる友人と付き合うと学力は上がるのか
  • 第7章 偏差値の高い大学に行けば収入は上がるのか
  • 第8章 ありもののデータを分析しやすい「回帰分析」
  • 補論① 分析の「妥当性」と「限界」を知る
  • 補論② 因果推論の5ステップ
  • おわりに

2つのデータの間に相関関係が観測されることはしばしばありますが、それが必ずしも因果関係をあらわすものではないことは、このブログをご覧になるような方々であればご存知だと思います。本書は、因果関係の有無を検証する「因果推論」をテーマとしています。

取り上げられた内容が身近な点はレヴィットとダブナーのベストセラー「ヤバい経済学」を彷彿とさせますが、本書はそれらのトピックをそれぞれ因果推論の手法にきちんと結びつけて説明しているところが素晴らしいです。例えば、投資クラスタではおなじみの「ジブリの呪い」がいきなり出てきます。

宮崎駿監督率いるスタジオジブリの映画が日本のテレビで放映されると、アメリカの株価が下がるという「ジブリの呪い」の話を聞いたことがある人もいるだろう。この法則は、アメリカの『ウォール・ストリート・ジャーナル』までもが取り上げて話題となった。これはまさしく、「まったくの偶然』による見せかけの相関の典型例だ。

「ジブリの呪い」をご存じない方はこのあたりの投資家の阿鼻叫喚をご覧ください。

さて、本書では喫煙にまつわるトピックが多く取り上げられていますので、そのうちいくつかをピックアップしてみましょう。

一つは受動喫煙と肺がんとの因果関係に関して国立がん研究センターが発表した内容にJTが反論し、さらにその反論について国立がん研究センターが再反論したというものです。国立がん研究センターのほうは「メタアナリシス」という因果推論の正統な手法を用いていることから、再反論でJTはコテンパンに論破されています。

もう一つは受動喫煙防止のための喫煙規制強化の影響です。アルゼンチンでの規制の分析の結果、喫煙規制を厳格に強化した地域とそうではない地域との間に、売上には統計的に有意な差はなかったそうです。いっぽう日本では、神奈川県の受動喫煙防止条例による経済効果についての調査を三菱UFJリサーチ&コンサルティング社が発表していますが、そこではマイナスの影響となっています。この点に関してちょっとつぶやいてみたら、なんと著者ご本人からコメントが返ってきました。

最近になって同様の調査が富士経済から公表されていますが、これもマイナスの経済影響となっています。

これらについては著者の津川氏のご指摘のとおり因果推論を正しく行っていないということもあるのですが、それ以上に「喫煙規制強化は外食産業に打撃を与えるだろう」という思い込みが前提になっていることが問題のように思われます。少なくともアルゼンチンの事例は、そういった直感に反する結果が出ています。

このように、因果推論を行うことによって「直感的に予想されていたことに対し、実際にはそうではなかった」ということが明らかになる(逆に因果関係を明らかにできない他の手法では予想に反する結論が出てこない)ことが最大の意義ではないかと思います。上に挙げた事例の他にも、直感や予想に反する事例が豊富に載っており、読み物としても、因果推論の学習の入り口としてもおすすめの本です。

2017年3月 1日 (水)

2017年4月からの保険料率改定

現在1%となっている標準利率が今年の4月から0.25%に下げられることに伴い、今月になって各社が保険料率の改定を公表しています。その内容をみてみましょう。

みどり生命(2016年12月22日発表)
http://www.midori-life.com/company/infomation.html#kaitei
定期保険、終身保険について保険料率引き上げ。こども保険は販売停止。

アフラック(2017年1月20日発表)
http://www.aflac.co.jp/info/revised_rates.pdf
定期保険、終身保険などについて予定利率を改定。保険料率引き上げとなる例が多いものの、若齢の定期特約などでは引き下げとなっています。また、商品によっては改定時期が4月ではなく、3月または7月となっています。

メットライフ生命(2017年2月1日発表)
http://www.metlife.co.jp/about/press/2017/pdf/170201.pdf
終身保険について保険料率引き上げ。終身保険(低解約返戻金型)は3月から、終身保険(引受基準緩和型)は2月から改定。

オリックス生命(2017年2月13日発表)
http://www.orixlife.co.jp/about/news/2016/20170213.html
終身保険、定期保険、疾病・医療保険の一部、養老保険等について保険料率引き上げ。

日本生命(2017年2月22日発表)
http://www.nissay.co.jp/news/2016/pdf/20170202.pdf
学資保険、年金保険、終身保険などの保険料を引き上げ。定期保険などは改定せず。

明治安田生命(2017年2月23日発表)
http://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2016/pdf/20170223_01.pdf
主力商品「ベストスタイル」について保険料引き下げ。定期保険、終身保険などについて保険料引き上げ。

住友生命(2017年2月23日発表)
http://www.sumitomolife.co.jp/about/newsrelease/pdf/2016/170223a.pdf
基本的に保険料引き上げ。ただし商品・年齢によっては引き下げとなる場合も(「ドクターGO」30歳契約など)。

三井生命(2017年2月23日発表)
http://www.mitsui-seimei.co.jp/corporate/news/pdf/20170223.pdf
保障セレクト保険、定期保険、養老保険などについて保険料率引き上げ。

朝日生命(2017年2月28日発表)
http://www.asahi-life.co.jp/company/pressrelease/20170228.pdf
保険料例のみ記載のため詳細は不明ですが、介護保険、医療保険の保険料例は引き上げ、定期保険の例は引き下げとなっています。

富国生命(2017年2月28日発表)
http://www.fukoku-life.co.jp/about/news/download/20170228.pdf
学資保険、年金保険、定期保険、養老保険について保険料率引き上げ(定期保険は短期の事例で引き下げあり)。「未来のとびら」、「医療大臣プレミアエイト」については改定なし。

かんぽ生命(2017年2月28日発表)
http://www.jp-life.japanpost.jp/aboutus/press/2017/abt_prs_id001136.html
保障性の高い一部商品について保険料率引き下げ、養老保険、終身保険、学資保険などについては基本的に引き上げ(条件によっては引き下げ)。

第一生命(2017年3月3日発表)
http://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2016_087.pdf
終身保険、養老保険、こども保険、個人年金などについて保険料率引き上げ。

まっさきに保険料率改定を公表した「みどり生命」は、2008年に共済から移行した生命保険会社です。しかし改定時期の4ヶ月以上も前に公表するのはめずらしいです。まあ、早ければいい・遅ければ悪いといったたぐいのものではありませんが。

前回の標準利率改定でも同様のブログを書きましたが、傾向としては前回とほぼ同様かと思います。マイナス金利政策下で運用収益がきわめて厳しい状況にある以上、貯蓄性商品の予定利率引き下げ(=保険料引き上げ)はやむなし、ただし主力商品あるいは保障性商品では現行水準を維持したい、というところが見えます。

ちなみに定期保険の料率が上がるか下がるかについてはややバラツキが見られますが、これは保険期間が短期か長期かで予定利率の変化の受け方が大きく異なるためだと思われます。さらに(おそらくは)予定利率以外の計算基礎も変更している可能性があるので、話はそう単純ではないでしょうが…

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