書評『法令読解ノート 改訂版』
11年前、「法令読解ノート」というブログエントリを書いたんですよ。
そうしたらですね… 先日、そのエントリに次のようなコメントが。
●上記の書評でご紹介いただきありがとうございました。お蔭をもちましてこの3月10日に、発行後10年以上を経て、同書の改訂版を発行するに至りました。つきましては、唯一の書評に敬意を表して謹呈させていただきたいと思っていますので、お届け先をお知らせください。
●なお、改訂は、引用法令をこの間の改正に対応させたほか読み易さ分かり易さの観点から、焦点を絞り、スリム化(約15頁減)したものです(価格据置)。
●リバウンドの兆しが報道され始めましたが、ブレークスルー感染もある中では、「よく食べ良く寝て適度の運動に溜め込み過ぎず」により免疫力を維持・向上させるしかないと思われます。どうかご自愛の上、お過ごしください。
ということで出版元の公益社団法人 全国労働基準関係団体連合会様から改訂版をご恵投いただきました!
さっそく拝読いたしましたよ。
この本は筆者の畠中信夫氏が白鴎大学法学部で教鞭をとっておられたときに法学部の1年生を対象とした講義レジュメが元になっているため、冒頭が次のような文から始まります。
本書をひもとく人の大部分は、いわゆる「六法」を手元に持っておられると思います。
手元に持ってなくて申し訳ありません… なのにご恵投までいただいて本当に申し訳ありません…
が、そんな法学門外漢の私にもとても役に立ったんですよ。このブログをご覧になる方はアクチュアリーが多いと思いますが、アクチュアリーの主な活躍フィールドである保険や年金の世界が免許業種や登録業種である以上、法令とは無縁ではいられません(まあ免許や登録が不要でも法令とは無縁ではいられませんが…)。そのときに「法令の読み方」を知らなかったらどうにもならないわけです。
上述の畠中氏の講義を受講した学生の感想文にはこうあります:
…今まで全く法律に触れたことはなかったので、六法の見方や、法令番号や、法令の構成や、ただし書き、柱書きの意味や、法令用語の使い方など、法律を学ぶための基礎の基礎を教えてもらって、本当に有難いと思います。正直、受講して良かったと素直に思える講義だったと思います。…
本書を読んで、私もまったく同様の思いです。
この『法令読解ノート』には書かれていないことですが、法令には「一般の人が読んでわかることを配慮したもの」と「専門家しか読むことを想定していないもの」があります。で、保険業法は後者の典型です。前回のブログエントリにも書いた通り、『法令読解ノート』の中で「重要文化財級の条文」とまで書かれてしまうようなものが出てきます。たしかに保険業法施行規則第1条の2の2第1項第1号ハ(1)(iv)って読ませる気ないとしか思えませんよね。保険関係者が法律の読み方に慣れるためには保険法の条文構成から見るのがいいかもしれません。
とにかくこの『法令読解ノート 改訂版』、今まで誰も教えてくれなかった法令の初歩の初歩を理解するには唯一最適の書です。現在はまだ全国労働基準関係団体連合会のサイトでしか入手できないようですが、Amazonで入手可能になりましたらまたお知らせしたいと思います。
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